言語と身体

こんにちは、身体研究家アレクサンダーテクニーク教師の土橋です。

今回は「言語と身体」というテーマでお伝えします。

 最近は、日本語で発声する声の響きと身体及び空間との共鳴、その時の意識の状態を自分の声で探求していて、言葉と脳と身体が完全に連動しているということを実感していて、言葉と声に興味津々です。

そんな中、先日英語教師をされている生徒さんとのレッスンで、「英語を話している時の身体と、日本語を話している時の身体の状態の違いを見てみる」というテーマを扱いました。

 レッスンでは、まず日本語で文章を話してもらい、次に同じ文章を翻訳して英語で話してもらいその時の身体の状態を観察しました。

この時観察できたことは、英語で話しているときは自然にリラックスして話されていて、日本語で話している時の方が声と身体の一致感が薄く身体が固くなっているということでした。

 まず、どうして英語を話しているときはリラックスして話せていて、日本語で話しているときはやや固い感じがしたのか?

まず身体の意識の観点からは、「自分が話している声を聞いているかどうか?」がポイントになります。

私たち日本人が外国語を話す場合には、特に発音・発語に注意して話しますよね。

そうすると自然に自分の出している声を聞いて話すことになります。

自分の声を聞きながら話すと、その声の振動が身体と共鳴し、声と身体の一致感が増します。

そうするとリラックスした良い声になりやすいです。

一方で普段話している日本語はあまり注意して自分の声を聞くということが少なくなっていることが多いと思います。

その結果日本語の方は声と身体の一致感が薄くなっていたと推測されます。

 また、明らかに日本語で話しているときと、英語で話している時では出ている雰囲気が変わっていました。

異なる言語を話すと人格が変わると言われますが、英語で話している時の状態(モード)があり、日本語で話している時のモードがあるということです。

 脳と言語の研究から、日本語で話している時の脳と英語で話している時では脳の活性化する部位が異なることが分かっています。

参考記事

https://www.e-taiken.net/jakuten/eigonou.html

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ninchishinkeikagaku/11/1/11_1_23/_pdf

日本語を話している時は脳の後ろ側の後頭葉が活性化するようです。後頭葉には視覚野があり、この部位が活性化することで身体の全体の認識や空間認知力が高まります。

個人的な見解では、母音をベースにして出来ている日本語は、身体の中心と共鳴しやすく、他の言語と比べてより身体感覚との結びつきが強く、身体の全体性を活性化させる言語だと思っています。

このように言葉(声)と脳と身体が密接に連動していることから、その言語を学ぶときは、自分全体を完全にその言語モードに切り替えることが効率的な学習の仕方だと考えられます。

言語を学び、使うときに日本語を英語に、英語を日本語に翻訳してモードをしょっちゅう切り替えていると脳にとってストレスになるからです。

2つの人格を交互に行ったり来たりしている状態だと言えます。

 実はこの英語教師の方は、日常生活で頭痛が起こりやすい方でした。

そして、英語を教えているときには、基本的に日本語を英語に、英語を日本語に翻訳をしながら教えているとのことでした。

つまり英語を教えている時は、2つのモードを行ったり来たりして、それが長く続くと脳にストレスをかけて、それが頭痛の原因の一つになっている可能性が推測されます。

通訳の仕事をされている方の話を聞いても、脳が疲れるというお話をよく聞きます。

 とはいえ、語学を学ぶ時に翻訳する作業は必要になってきます。

この対応策は、脳・身体のモードを切り替えていることを自覚することです。

日本語を使っているときは、日本語モード、英語を話しているときは英語モード、

そして翻訳が必要なときは、日本語モードと英語モードを相互に行き来している(左脳優位)ことを自覚します。

英語を使っているときは、基本的に翻訳せずに英語のみを使用するのが、脳・身体にとってストレスが少ないです。

ここまでの話は一般的な言語と脳の研究から言われていることです。

 ここからが、身体と意識の観点からの話です。

それはこのモードを切り替えているのは誰か?という観点です。

その「誰か」が自分の元(本体)の意識です。

普通は、モードを切り替えているのは頭(脳)だと思う人が多いのではないでしょうか?

実はその意識状態では、切り替えはスムーズに出来ません。

脳の切り替えをスムーズにするおすすめの方法は、自分の斜め後ろ2〜3mくらいのところから自分や周りの人や空間を見ている俯瞰的な意識を持つようにすることです。

そうすると意識の中に、自分全体(脳全体)を含めることができ今のモードに集中し過ぎなくなり、モードの切り替えがスムーズに行いやすくなります。

このように俯瞰的な意識で、モードの切り替えを選択してスムーズに行えると、思考が柔軟になり頭が柔らかくなって、非常に能力アップにつながります。頭痛軽減の効果も期待できます。

この俯瞰的な意識を持つことは、外国語の学習や話すとき以外にも日常のあらゆる場面で役立ちます。いわゆるメタ認知というものです。

ここまで身体・意識の観点から言語・脳・身体の関係についてお伝えしました。参考になるところがあれば幸いです。

僕自身は日本語と身体の関係についてとても興味があり探求を進めています。

まずは万葉集から学んでいきたいと思います^^

<補足>

俯瞰的な意識についてもう少し詳しく解説します。そもそも私たちは、空間全体の中で自分の現在地が分かっているという意識・脳の機能(車のナビゲーション的な機能)を持っています。これを無意識に脳と身体が行なってくれています。

その機能がないと、今いる空間で前後左右のバランスをとって立ったり、歩いたり、動いたりすることが出来ません。

「無意識にやってくれていることなんだからほっといたら良いじゃないか」というと、そういうわけでもありません。

本来の身体の機能を発揮するには、無意識にやっていることに自覚的になる必要があるんです。

なぜなら無意識に身体に任せているままだと、余計な思考が働いて、その身体の働きを邪魔してしまうからです。

例えば、目の前のことに集中し過ぎて空間の前側だけの意識が強くなったり、下側の意識が希薄になったりして空間認識のバランスが悪くなったりします。

この余計な思考に邪魔されずに、脳と身体が適切に機能するためには、今自分がどのような状態なのか?どこにいて、どこに向かっているのかを自覚する、感じている必要があります。(空間全体の中で、部分(今いるところ)を認識している必要がある。)

自分が行なっている機能を自覚すること、これは、言語を学習している時に自分がモードを選んでいる、切り替えているということを自覚することが大切という話と同じです。

つまり、パフォーマンスを発揮する最良の方法は、自分を知ること、自分のやっていることを知ることだと言えます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

レッスン案内

●東京レッスン

1月26日(金)残席2名 13時〜、17時〜

1月27日(土)残席1名 14時30分〜

https://body-use.com/tokyo/

●京都レッスン

火曜〜土曜 11時〜20時

https://body-use.com/kyoto/

●オンラインレッスン

火曜〜土曜 11時〜20時

https://alex-kyoto.com/onlinelesson/

<無料メルマガ>7日間であなたの体が生まれ変わる動画レッスン♪

ブログを読んで頂きありがとうございます!

はじめまして、姿勢と体の使い方指導アレクサンダーテクニーク講師の土橋です。

アレクサンダーテクニークとは楽で自然な姿勢や体の使い方を教えるレッスンです。

京都を拠点に活動し、現在はオンラインでもレッスンを行い、80名以上が参加するオンライン体操教室も主催しています。

これまで延べ1000人以上の方にレッスンを行ってきました。

主に腰痛や肩こりなど体の不調に悩む方に、体の痛みが起こらない姿勢や動き方を教えたり、音楽家やアスリートなどのパフォーマーに体を痛めることなくパフォーマンスを最大限発揮する体の使い方をお伝えしています。

こちらの7日間であなたの体が生まれ変わる動画レッスンでは、僕がこれまで約10年1,000人以上の方に体の使い方をお伝えしてきて確実に効果のあったものばかりです。 是非痛みなく快適に動く為のコツを知ってください!

目次
①頭・首の楽で自然な動かし方
②腰、背中が痛くならない楽で自然な座り方
③2秒で肩が上がるようになる!楽で自然な腕の使い方
④ストレートネックを一瞬で解消する姿勢改善法
⑤あなたの呼吸は浅くなっている?呼吸を深くしてパフォーマンスをアップしよう!
⑥呼吸が楽になり、声が楽に出る体の使い方
⑦疲れない楽で自然な目の使い方

興味のあるタイトルがありましたら、是非登録してご覧ください^^

https://alex-kyoto.com/mailmagazine/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください