こんにちは、アレクサンダーテクニーク教師の土橋健一です。
声楽を学ばれている生徒さんが、あるマスタークラスに参加してきたそうです。
そこで先生から言われたことは、
「声楽は腹式呼吸ではなく、胸式呼吸で歌うのよ。」
ということでした。
実際、学ばれた通りに歌っていただくと、声量も出ているし、力強く歌っていらっしゃったのですが、
明らかに胸式呼吸だけでなく、腹式呼吸も使って歌っていました。
実際に人が呼吸する時、胸式呼吸か腹式呼吸かどちらかだけで呼吸するのは不可能です。
これは呼吸時にはどちらも使われています。
(※呼吸の仕組み
呼吸は胸郭の容積が変化することによって、肺の中の空気が出入りすることで行われます。その時、肋間筋によって胸郭が前後左右に拡がったり縮んだりすることを胸式呼吸といい、横隔膜が動いて、胸郭が上下に拡がったり縮んだりするのを、腹式呼吸といいます。)
レッスンでは、その生徒さんが実際に学んできた歌い方がどのようなものなのかを見ていきました。
生徒さんがやろうとしていたことは、胸郭を拡げた状態を維持しながら、歌うということでした。
ここで観察できたことは、胸郭の前側だけを拡げようとして、後ろ(背中)側が固くなっていたこと。
また、胸式呼吸だけで歌うということを意識するせいか、不必要にお腹が緊張していたことでした。
そこで息は背中側にも入ってくること、胸郭を拡げた状態でも、吐くときは息は上に上がってくる、そう思うことで自然にお腹や骨盤の筋肉や横隔膜も働くことなどをお伝えしました。
そうすると、生徒さん自身が、自分がやろうとしていた歌い方が明確になり、声量だけでなく、先ほどは少し固かった声も柔かくなり、より響くようになりました。
このように、指導してくれる先生自身は身体を上手く使って実践できているけど、解剖学的な知識の不足などが原因で表現が不明確・不正確なために、生徒さんが混乱しているということはよくあります。
アレクサンダーテクニークを学ぶと、先生が実際は何を伝えたいのか、具体的にどうやれば良いのかが自分で分析して実践できるようになります。
先生の言う通りに実践しても、なかなか思うように上達しないという人は、是非一度アレクサンダーテクニークのレッスンを受けてみてくだい^^
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