「胸を張って姿勢を良くして」の問題点

「胸を張って姿勢を良くしましょう!」
この言葉小さいときから良く聞きませんでしたか?

私は小学校の頃から姿勢が丸くなって猫背ぎみにしていると、
「ほら胸を張って姿勢をしゃんとしなさい!」
と家でも学校でも言われてきた記憶があります。

では、胸を張ると本当に姿勢は良くなるんでしょうか?

猫背ぎみの人が、この言葉を誰かに言われて胸を張ったとします。
たしかに一時的には姿勢がまっすぐになってしゃんとしたように見えるかもしれません。

でもおそらく5分もたたないうちに、元の猫背の丸い姿勢に戻ってしまうでしょう。

皆さんも同じような経験をしたことがあるのではないでしょうか?

「よし。胸を張ろう!」と思ってよくやりがちなことの一つは、

肩甲骨を引き寄せることです。

肩甲骨を引き寄せると胸は一見広がったように見えます。
でも実際に起こっていることは、腕が肩甲骨のところから後ろに引っ張られることで、
それにつられて胸が後ろへ引っ張られ、本来あるはずの胸椎の前向きのカーブの邪魔をしてしまいます。

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※胸の後ろの胸椎は前向きの逆Cカーブをしています。

また腕は本来、身体の前側で動くようにデザインされています。

それは私たちの行う全ての動作は、視界の中(周辺視野も含めた)で行う方が、楽で自然にできるように身体の構造がデザインされているからです。

試しに、腕を伸ばして視界に入る範囲の中、主に身体の前や斜め前側で動かしてみて下さい。
次に視界の外、主に身体の横やななめ後ろ側で動かしみて下さい。
明らかに視界の外で腕を動かすほうが動かしにくいのが分かると思います。

肩甲骨(腕構造の一部)を寄せると、本来身体の前側で動かすようにデザインされている腕が、
常に逆方向の後ろ向きに引っぱられていることになります。
これは楽で効率的な身体の使い方とは言えません。

「胸を張って姿勢を良くするぞ!」と思ったとき
この肩甲骨を引き寄せることに加え、胸を持ち上げるということを同時に行うことで、
さらに胸椎の前向きの自然なカーブがなくなり、結果として腰のカーブが急になって腰に過度な負担がかかるということが起きがちです。

その体勢を維持するのは大変なので、当然すぐに元の猫背に逆戻りです。

では猫背の人が姿勢を良くするにはどうすれば良いのか?

そもそも猫背で胸を落ち込ませている本当の原因は、胸自体にあるのではなく、

本来脊椎のてっぺんで自由にバランスしている頭を、脊椎の前下へ落としていることにあります。

頭を脊椎より前に落としていることで結果として背中が丸くなったような猫背の姿勢に見えるわけです。

なので、姿勢を良くしたいと思った時にまずやりたいことは、頭が脊椎のてっぺんでバランスしていることを思いだすことなんです。

過去の記事でも言いましたが脊椎のてっぺんは、だいたい耳と耳の間、鼻の奥のあたりです。

頭はさらにそこから上にあります。

思っているより高いところにありませんか?

「頭が脊椎のてっぺんで自由に動くことができる」

と思ってみましょう。

頭の上や横、後ろを指先で軽くトントンたたいてみて下さい。

「頭はここにあるよ~」って自分自身の身体に教えてあげましょう。

そして頭が脊椎のてっぺんでバランスすると、脊椎は長くなり、胴体が長く広くなります。

姿勢のことが気になったらこう思ってみましょう。

「脊椎の一番上が耳と耳の間、鼻の奥のところまできていて、頭がその上で自由に動くことができる。」

「頭が脊椎のてっぺんで自由に動けることで、脊椎が長くなり、胴体が長く広くなって、肩が左右に拡がる。」

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