見方で相手の状態は変わる

物理学の量子力学の世界では、観測者から独立した実験など存在せず、観測者の介入が実験の結果を左右すると考えます。

普通に考えると、科学的な実験っていうのは、見ている人がいるいないに関わらず同じ結果が出るので科学的な客観性があると考えられるわけです。

でも客観性を大切にする科学の世界からこのような考え方が出てきたというのは、おもしろいです。

「観測によって状態が決定する」

実は、このことは、アレクサンダーテクニークのレッスンや施術、あるいは単に普段のコミュニーケーションの中でも起こっているんです。

教師、術者が、クライアントさんに対してここが悪いな、ここが駄目だなというふうにして見ると、本当にクライアントのカラダはそういう状態になるんです。

もっと言うと、歪みやコリが増幅されることもあります。

ではどういうふうに見れば良いかというと、ただ患者さんの状態をありのまま観察するんです。

本来人間のカラダの状態に良いも悪いもないんです。

自然の原理に従って、カラダがただそういう状態になっているだけなんです。

人間のカラダは整っていても、たとえ歪んでいても完全に自然の原理に従っています。

良い悪いっていうのは、人間が後から付け加えた勝手な解釈です。

生徒、クライアントさん全体をただありのまま観察する。

いつも心がけていたいことです。

「見方で相手の状態が変わる」

ほんとかどうか実験してみましょう。

2人でやる実験です。

まず一人の人が相手のカラダのどこかの部位でコリがあるところを見つけます。

例えば肘の周囲や、膝裏とかどこでも結構です。

コリを見つけたらその部位を見てグリグリ押さえます。そうして凝っていることを確認します。

次に、押さえる部位は同じなのですが、押さえるときにその部位だけを見るのではなく、周辺視野を使って、相手の人全体を見るようにします。

相手だけでなく、回りの景色も周辺視野でぼんやり見ている感じです。

そうしてコリを押さえてみます。

どうでしょう?

2つの押さえ方で何か違いはあったでしょうか?

おそらく周辺視野を使って相手全体をみたときのほうが、コリが減ったのではないでしょうか?

また受けての押さえられている感じも違った感じがしたのではないかと思います。

少し分かりにくいかもしれませんが、この実験自分一人でも試せます。

自分のカラダのコリのある部位(肩とか)を押さえて、周辺視野を使って回り全体を含めて押さえるのと、そうでないのとで違いを試してみて下さい。

その部位だけを見て押さえるか。

全体を見た上でその部位を押さえるか。

見方を変えるだけで驚くほど違いがうまれるんです。

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