こんにちは、アレクサンダーテクニーク教師の土橋です。
今回は吃音(吃り)のメカニズムとその改善のヒントをお伝えします。
最初に、吃音とは
「吃音(きつおん、どもり)は、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつです。
単に「滑らかに話せない(非流暢:ひりゅうちょう)」と言ってもいろいろな症状がありますが,吃音に特徴的な非流暢には、以下の3つがあります。
音のくりかえし(連発)、例:「か、か、からす」
引き伸ばし(伸発)、例:「かーーらす」
ことばを出せずに間があいてしまう(難発、ブロック)、例:「・・・・からす」
上記のような、発話の流暢性(滑らかさ・リズミカルな流れ)を乱す話し方を吃音と定義しています ( ICD-10, WHO)」
(国立障害者リハビリセンターより)
僕も吃るわけではないのですが、どちらかと言うとなかなか言葉が出てこなかったり、間が大きくあいたりすることが多く、どうして吃ってしまうのか感覚的に分かる部分があります。
そんな自分自身の体験やレッスンの事例から吃音についての考えをまとめました。
なぜ吃るのか?
吃る大きな原因は、話すときに意識が自分自身の方に向いているということです。
話そうと思うと、「また吃ってしまうじゃないか?」「ちゃんと話せるか?」「吃って変に思われるんじゃないか?」
といった考えを強く思っている傾向があります。
ですが本来話すということは、その時の意識の矢印→は相手の方向を向いているはずです。
その相手に向かう矢印→がありつつ、自分に向かう矢印←が同時に存在している状態になっているのです。
そうするとその2つの矢印が引っ張りあって結果、吃ってしまうわけです。
なぜ吃るようになったのか?
そのきっかけは様々だと思いますが、これまで生きてきた中で、様々な自分自身に向かう矢印←が症状を引き起こすようになったと考えられます。
もちろんこの自分自身に向かう矢印←は誰もが持っているものであり、決して悪いものではないです。
自分自身に向かう矢印←とは、言い換えると内省です。
それは自分と向き合ったり、振り返ったりする為に、誰にとっても必要なものです。
だから吃る人が何か特別な病気を持っているわけではないと思っています。
ただ吃る人はその自分に向かう矢印←が話すときに非常に強く出てしまうというだけなのです。
自分を責めすぎていたり、恥すぎていたり、完璧主義的だったり様々なことがあると思います。
だから吃りの根本的な解決は、自分自身に対して少し優しくなることなのです。
「吃りでも良いじゃない。何か問題があるの?
ちょっと遅くなっても、伝えることはできるんだから。」
そんな風に思えるようになれば吃りは治ります。
こんな話を聞いたことがあります。
アラスカの方の寒い地方では、寒くて口を動かすのが難しいせいか、5歳くらいでは吃る子供がたくさんいるそうです。
でも、それが普通だし、誰も指摘しない、そして小学生くらいになると自然に皆治っていくそうです。
こんな風に、吃ることを特に強調しなければそれは問題にはなりません。
だから吃りとは社会が作り出しているものだとも言えます。
吃ることが許されない雰囲気がある。
それを感じて吃ることが悪いことだ、ダメなことだと思ってしまう。そしてなかなか治らなくなる。
という悪循環が起きているように思います。
吃ってもOK、嘘でも良いのでまずはそう唱えてみましょう。
吃音改善のヒント
1、望みをはっきりさせる
吃りのことを気にせず、相手に何を伝えたいかと言うことをはっきりさせることです。
相手に向かう矢印→を強くするのです。
そうすれば、最終的には自分に向かう矢印が気にならなくなります。
なぜなら人は基本的に一つのことしか考えることができないからです。
相手のことを本当に考えているとき、自分のことを考えている暇はありません。
2、体の緊張に気づく
吃るときは、必ず体も固まっています。
その体の緊張に気づき、力みなく発声・発語する身体の使い方を再学習することが吃音改善に大きく役立ちます。
体の固め方は人によって様々です。
声を出すとき、喉を固める、首を固める、腰を固める、それら全てをやっている。色んなパターンがあります。
その余分な緊張をやめ、自然に声が出てくる身体の使い方が分かれば、なぜ吃るのか?どんな状況でどんな意識のときに吃るのか?
ということが明らかになります。
アレクサンダーテクニークのレッスンでは、吃音に対してこのように心身両面の気づきから改善していきます。
吃音でお悩みの方は是非一度ご相談ください。
まとめ
吃音のメカニズム
相手に向かう矢印と自分に向かう2つの矢印が葛藤して結果として吃る。
吃音改善のヒント
1、自分に対して少し優しくなること
吃っても大丈夫。まあいっか。と唱える
2、①相手に何を伝えたいのか望みを明確にする
②体の緊張に気づき、それをやめること
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